花粉症で“耳の症状”というのは驚かれる方もいるかもしれません。実際に花粉症の症状調査の項目には入っておりませんが、花粉症に伴う耳の症状に悩まされている人は少なくありません。

症状としては、①耳のかゆみ、②耳閉感(耳がつまった感じ・塞がった感じ)などです。場合によっては③耳痛を生じる場合もあります。
下記にその治療方をご紹介致しますので、ぜひご参考下さい。

花粉症に伴う耳の症状の治療

耳のかゆみ

耳のかゆみについてはアレルギー性皮膚炎の治療に準じて抗ヒスタミン内服薬※1でかゆみを抑え、状況に応じて耳鼻科を受診の上で外用薬を併用します。

西洋医学的治療の第一選択内服薬です。確実に効果が期待できますが、眠くなるなどの副作用の問題があります。

耳閉感

耳閉感(耳がつまった感じ・塞がった感じ)の場合は、漢方薬での治療も有効です。70番・香蘇散(コウソサン)が体質【証】によらず第一選択薬です。感染後など炎症が強く関与する場合は柴蘇飲(サイソイン)を使いますが煎じ薬となります。エキス剤で代用する場合は70番・香蘇散(コウソサン)9番・小柴胡湯(ショウサイコトウ)を合包とします。137番・加味帰脾湯(カミキヒトウ)が有効であるとの報告もあります

耳痛

耳痛の場合は中耳炎を見分ける必要があります。症状が重度である、発熱があるなどの場合は必要に応じて耳鼻科受診が必要です。そのうえで抗生物質、消炎鎮痛剤の使用を行います。比較的軽度の場合は漢方薬のみでも十分な効果を得られる事があります。漢方薬の第一選択薬は1番・葛根湯(カッコントウ)です。また、鼻閉感を伴う場合は2番・葛根湯加川きゅう辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)を使います。症状が長引く場合は9番・小柴胡湯(ショウサイコトウ)などの柴胡剤(サイコザイ)に変更します。慢性中耳炎など長期間症状が続く場合は48番・十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)などの補剤を使います。高度な中耳炎の場合も漢方薬の内服は抗生剤などとの併用で十分な効果を期待できます。

上記のような症状でお悩みの方、また、鼻・目・喉などの症状と併発してしまっている方は、お早めに医療機関におかかり頂くことをお勧め致します。

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