喉の症状と言えば、一般的には風邪を想像しますが、花粉症のアレルギーによっても喉の症状を訴える方は多く、約30%の方が症状を感じています。
具体的には喉のかゆみ、痛み、違和感があげられますが、それらの症状に対しては先ずは喉を“乾燥”から守ることが重要です。
マスクの着用に加え、こまめな水分補給やお部屋の加湿を心がけましょう。
その上で以下の治療を行います。

  • 消炎剤含有のトローチ:のどに直接作用して菌を殺す薬が含まれています。
  • トラネキサム酸(注射、内服):炎症やアレルギー症状が起こっているときに、体内で異常増加している酵素(プラスミン)を抑え、口内や喉における腫れ、痛みなどの症状を改善します。
  • 消炎鎮痛剤:トラネキサム酸が効かない時に内服しますが、体への負担を考えると頻用は避けたいところです。
  • うがい薬:イソジン、アズノールなど
  • 市販ののど飴、スプレーなど:使用後の爽快感は大きいが、医学的に見た効果は疑問です。

≪漢方薬による喉のかゆみ・痛みの治療≫

また、のどの症状は下記のような漢方薬を併用することでより効果的な治療が可能となります。

まず、症状があるときに使う含嗽剤(かんぞうざい - 口に含んで使う薬、内服も可能)としては、甘草湯(かんぞうとう)があります。これは体質【証】によらずに全ての人に使える便利な漢方薬です。
エキス剤としては138番・桔梗湯(キキョウトウ)があります。これを200ml程度のお湯に溶かして少量ずつ含嗽(かんぞう)もしくは内服すると効果的で、非常に即効性もあります。

内服の漢方薬では実証(ジッショウ)、熱証(ネッショウ)※1の人には、急性期には『葛根湯加桔梗石膏(カッコントウカキキョウセッコウ)』を使います。
症状が慢性化した場合には109番・小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)を使います。なお、109番・小柴胡湯加桔梗石膏は急性期から内服しても一定の効果が得られます。

虚証(キョショウ)、寒証(カンショウ)※1の人には、急性期には『半夏湯(ハンゲトウ)』を使いますが、こちらにはエキス剤には存在しません。
半夏湯』は、半夏(ハンゲ)・桂枝(ケイシ)・甘草(カンゾウ)から構成されますが、この3つはいずれも花粉症の代表的漢方薬である19番・小青竜湯(ショウセイリュウトウ)に含まれるため、これで代用する事も可能です。尚、症状が慢性化した場合は上記と同じ109番・小柴胡湯加桔梗石膏が有効です。

喉の症状を感じたら、のど飴やうがいで痛み・違和感を緩和させることは可能ですが、急性期の症状でも、体質【証】にあった漢方薬を服用することで、即効性があり、眠くならない治療が可能となります。

次回は、花粉症の時期に起こりやすい『長引く咳』について取り上げたいと思います。

※1
体質【証】

  • 熱証(ネッショウ) - 顔色が赤く興奮的で熱状を帯びる人
  • 寒証(カンショウ) - 顔色が蒼白く沈衰的で手足の冷える様なタイプ
  • 実証(ジッショウ) - 比較的体格が良く、体力に優れていて、赤ら顔、高血圧の傾向の方
  • 虚証(キョショウ) - 比較的痩せ形で貧血傾向、低血圧傾向という“虚弱体質“の方

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