冷え性の話をします。
皆様、特に女性の方々で冷えで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
冷えとひとことで言っても、冷えには様々な病態があります。その各々の特徴と対策について話をしたいと思います。
先ず、冷えは2つに大別されます。表面的な冷えと深層的な冷えです。この両者は、一見同じ様に見えても、様々な違いがあります。
表層的な冷えというのは、身体が低い温度にさらされる事による一過性の変化です。
それに対して、深層的な冷えというのは、身体の奥底に冷えの要素が形成されているため、解消するのには手間暇、時間を要します。
この表面的な冷えと深層的な冷えを、具体的な例を挙げて説明します。
冬山登山やスキーに行った時を想像してください。
余程の得意体質でもなければ、帰る頃にはある程度の冷えを自覚します。
そのため、「冷えちゃったから、帰りがけに温泉でも入って帰ろうか?」ということになったとします。
温泉に入るとポカポカと温まります。「いやー、温まった。やはり冷えた時には、すぐに温泉に入ると違うよね。」となります。これは、表面的な冷えの人でも、深層的な冷えの人でも同じです。
表層的な冷えの人は、これで終わりです。一過性の冷たさから来る冷えの要素はこれで解消です。後には何も残りません。
それに対して深層的な冷えを持つ人は、温泉に入った当日は、同様に冷えが改善します。しかし、翌日の夜などにまたしんしんとした冷えを感じます。「昨日温泉に入って温まったのに、何で冷えが出てくるのだろう?」といった感じです。
東洋医学的な考え方に於いては、深層的な冷えを持つ人は、身体の中に大きな氷の塊を内包していると考えます。もちろん、実際に氷が身体にあるわけではありません。あくまでも考え方の上での、いわばバーチャルな氷の塊です。深層的な冷えがある人は、究極には、この大きな氷の塊が無くならないと完全には治らないと思ってください。これには長い時間を要します。
冷え性を別の角度から東洋医学的観点でみると以下の様な見方も出来ます。
冷え性の人は、気虚という生命エネルギーが結果的に少ない状況にある事が多いのです。
詳しい説明は別の機会にしたいと思いますが、気の低下には、生まれ持った生命エネルギーである腎気が低下している場合と、東洋医学で言う消化器系である脾由来の気である後天の気が低下している場合があります。
東洋医学的な観点では、冷え性の改善には、食事療法や漢方による治療が重要です。
また、特に女性の冷え性に関連しては、血虚という要素が関わっている事も少なくありません。血虚とは、西洋医学で言う貧血がある、もしくは貧血が無くても地の働きが良くない状態をさします。
上記の血虚もそうですが、脾や腎による気の低下は、夜間に生じる事が多く、冷え性の改善のためには、睡眠時の物理的な冷えの防止や睡眠の質の改善が重要となってきます。
冷えが、その人の体質であるうちは「冷え性」ですが、冷えによる身体的な不調が高じたり、感冒などを生じ易いなど具体的な医学的問題点が発生すると、「冷え症」と扱われます。冷え症は、深層的な冷えである事が多く、重度の気や血の異常を伴う事も少なくないため、根本的な対策が必要となります。
冷えには東洋医学的な治療が望ましいのですが、現在の漢方治療を中心とする我が国の治療には一つの特徴があります。それは、植物由来の生薬による治療への偏重です。これは、現在我々が接する漢方薬の安全性にも繋がる、わが国が世界に誇るべき治療ではあるのですが、治療の多様性という観点から見るといささか問題もあります。
世界中の伝統医学で行われていて、わが国に手薄なものに、鉱物による治療があります。最近はわが国でも耳にする「パワーストーン」です。しかし、現在の我が国におけるパワーストーンの利用は、占いなどスピリチュアルなものと同等視されることも多く、玉石混交であるのは悩ましいところです。
私は、睡眠中の冷えの要素の改善として、鉱物生薬=鉱石であるトルマリンの効果に着目しました。遠赤外線とマイナスイオンを発生するトルマリンは、気虚および血虚による冷えの要素の改善と、マイナスイオンによるストレスの軽減による間接的な気虚の予防に効果があります。
トルマリンの活用は、一つは入浴時に浴槽に入れる事が有効ですが、最も有効性が高いのが、寝具への応用です。
トルマリンを繊維として寝具に織り込んだものが現在わが国で発売されていますが、これなどは、冷え性に大きな改善効果が期待できます。
深層的な冷えの治療には、食事を中心とした生活改善に加えて、漢方薬や、寝具の活用などによる地道な努力が有効と考えています。
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