11月14日は、世界糖尿病デー(World Diabetes Day)です。
糖尿病の全世界的脅威を認知するための日で、全世界で多くの啓蒙イベントが実施されます。
その一環として、各地でブルーの光でライトアップが行われます。
写真は、調布駅に近い病院でのブルーライトアップです。
主要な病院だけでなく、都庁や渋谷ヒカリエなどでもライトアップされるみたいです。
11月14日が何故、世界糖尿病の日とされたかというと、この日が、糖尿病に深く関連するホルモンであるインスリンを発見したカナダのバンティング医師の誕生日という事から制定されました。
11月14日の世界糖尿病の日は、元々国際糖尿病連合(IDF)と世界保健機関(WHO)が定めていた記念日でしたが、2006年12月、国連で「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」が採択され、国連の記念日として認定されました。
現在、糖尿病は世界的に増加傾向にあり、2000年には1.5億人だった糖尿病患者は、2019年には4.6億人と3倍に増加。
このままだと、2045年には7億人に達するとの予測もあり、対策が急務とされています。
我が国の糖尿病はどうでしょうか?
糖尿病患者と予備軍の数の推移です。
何か2007年をピークに減っているぞ、と思いきや・・・
糖尿病患者数だけを見ると、患者は増え続けて、2016年に1000万人に到達しています。
予備軍は減少していますが、患者数はいまだに増え続けています。
ここで、糖尿病の基本的な知識について
☆インスリンの働きについて☆
人間は、食事を摂取すると、糖質は分解されてブドウ糖となり、血液中に入って全身に送られます。
すい臓から分泌されるインスリンにより、血液中のブドウ糖は細胞内に吸収され、生命活動に必要なエネルギーを造りだします。
エネルギーとして使われなかったブドウ糖も、やはりインスリンの働きで脂肪細胞の中に蓄えられます。
余分なブドウ糖=余剰カロリーが、脂肪になり、体重増加をきたすのです。
☆糖尿病とは☆
ところが、様々な原因でインスリンの分泌が減少したり、働きが悪化すると、ブドウ糖が細胞内にうまく吸収されず、血液中に残ってしまう事があります。
細胞内は低エネルギー状態なのに、血液中はエネルギーのもとであるブドウ糖であふれている状態。
血液中のブドウ糖の量を測定したものが、血糖値であり、一か月間の血糖の平均を表わす指標がHbA1c=グリコヘモグロビンです。
こうした状態が長く続くと、血液中のブドウ糖の量が慢性的に増え、身体各所に様々な悪影響が出てきます。
これが糖尿病という病気です。
☆糖尿病の分類☆
糖尿病には大きく分けて、1型糖尿病と2型糖尿病の2つに分類されます。
1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病): 自己免疫やウイルス感染などが原因で、インスリンが大幅に減少する事による糖尿病。
我が国では患者数は少数ですが、10代や20代など若い世代に多くみられます。
早期からインスリン注射が必要であり、高血糖により生命のリスクもあるなど、厳重にコントロールする必要のあるタイプの糖尿病です。
2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病): カロリー摂取過剰、運動不足、肥満などによってインスリンの分泌量が若干減ったり、インスリンの働きが低下することによる糖尿病。
我が国の糖尿病の95%以上を占め、40代以降、中高年に多くみられます。
しかし、最近は食生活の乱れから若年層の患者も増えています。
生活習慣病とされるのは、この2型糖尿病です。
糖尿病と診断された場合は、適切な治療が必要です。
糖尿病治療の基本は、食事療法です。
標準体重1kgあたり、25カロリーの食事制限を基本とした食事療法が基本となります。
続いて運動療法を行います。
それでも血糖のコントロールが付かない場合は、薬物療法を併用します。
薬物療法は、飲み薬=経口血糖降下薬とインスリン注射があります。
薬物療法は、糖尿病の型によっても、程度によっても異なる治療が必要となるため、専門家による治療の決定が重要となります。
その悩ましい糖尿病ですが、実は人間だけではなく、ペットにもあります。
下のグラフは、我が国の犬の糖尿病の発症率です
犬の糖尿病は、シニア犬の基準の年齢とされている7歳から増加し始め、女の子に多いという特徴を持っています。
ちなみに、飼い犬の平均寿命は14歳程度と言われています。
(猫のデータは見当たりませんでしたが、猫にも糖尿病はあるとの事でした。)
発症につながる要因としては、人間の糖尿病と同じく生活習慣によるところが大となっています。
カロリー摂取過剰による肥満、運動不足、ストレスが主たる原因となります。
他にも、脂質の過剰摂取や添加物も原因となる事があるようです。昨今は、ペットもグルメブームだそうですし。
犬の糖尿病の有病率は、高齢犬では0.8%。
我が国の人間の糖尿病の有病率8%に比べれば少ない気もします。
しかし、犬で糖尿病と診断されるのは、インスリン治療を必要とする高度な場合が多い事を考えると、比較すべきは、我が国でインスリン治療を行っている糖尿病患者の比率0.9%かもしれません。いずれにしても、犬の糖尿病、少ない様で意外とありうる状況と考えます。愛犬家など、ペットを飼われている方は、気を付けたいですね。
この様に気を付けたい糖尿病ですが、糖尿病の最大に効率の良い対応法は、糖尿病にならない事。糖尿病の予防です。
糖尿病予防で最も重要なのは、体重を適正体重に持って行く事です。
過剰なカロリーを摂取せず、体重をコントロールする事を心がけましょう。
これは、人間にもペットにも当てはまります。
そして適度な運動とストレスの解消。
散歩など、簡単な事から始めてみましょう。
また、健康という事で言うと、11月14日はこんな日でもあります。
『アンチエイジングの日』
特定非営利活動法人(NPO法人)アンチエイジングネットワークが2007年に制定。
11月14日は、「いい(11)とし(14)」=良い歳という語呂合わせに由来。
生活習慣病を予防する予防医学の定着と、年齢を重ねてもいききと活躍するための活力となる「見た目の若さ」を保ち続ける方法の認知拡大が目的。自分自身の心と身体に向き合う日としての普及を目指しているとの事です。
世界糖尿病の日といい、アンチエイジングの日といい、健康を見直す良い機会と思います。
糖尿病を予防して、健康で長生き。
これを目指したいものです。
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